朱莉さんの不可解な一週間
部屋の中はお世辞にも広いとは言えなかった。


元々の狭さにプラスして、本やらファイルやらが山積みになってるから、その狭さを増幅させる。


その狭い部屋に何とか置かれた二人掛けのソファとテーブルの応接セットに近付き、先生はソファにあたしを座らせると、「珈琲でいいですか?」と聞いた。


「あ……うん」

急展開の状況に呆気に取られてるあたしは間抜けな声でそう返事するしか出来なくて、先生はあたしの返事に「待って下さいね」って言うと部屋の隅にある棚に近付く。


上部にポットが置いてあるそのアルミの棚は、本来なら本だとか書類だとかを入れて使う物なんだろうけど、先生はそれをインスタントの珈琲やらコップやらを入れて使ってる。


部屋の中を見回すと、最初に見た時よりもその乱雑さが目につく。
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