朱莉さんの不可解な一週間
「まあ、なくもない話だよね」

「ここの予備校の生徒は、僕に纏わるあの噂を知ってる人もいるんです」

「へ?」

「もう何年も前の話なのに、どこからか聞いてくるんですね。いつまでも吹聴してるバカがいる」

「……」

「それを吉岡さんに知られたくなかった。変な噂を知ってる生徒とばったり会ってそれを吉岡さんの耳に入れたらと思うと気が気じゃなかった」

「……」

「昨日、一緒にいたあの子も、あの噂を知ってる子でした。あの時吉岡さんからの電話を取ったら、また変に噂をされかねないと思ったんです」

「だから、電話に出なかったって?」
< 210 / 324 >

この作品をシェア

pagetop