朱莉さんの不可解な一週間
「ダメだって! ピーターパンに出てくる妖精みたいになったとしてみ!? あの服、朱莉に似合わないでしょ!」

バカに拍車(はくしゃ)が掛かる。


放っておいたら何時間でもこのバカな話で盛り上がりそうなふたりに、あたしは大きな溜息を吐いて、


「ところでさ。瀬能先生って覚えてる?」

妖精の話よりもしたい議題を口にしながら、煙草を取り出して火を点けた。


「瀬能先生って『あの』?」

一葉が目敏(めざと)く 「それ」を思い出した事はすぐに分かった。


あたしに向けた目がキラリと光った気がした。


瀬能先生が初恋の相手だって事は誰にも言ってないけど、一葉はあの当時から薄々それに気付いてた。
< 28 / 324 >

この作品をシェア

pagetop