朱莉さんの不可解な一週間

近しい存在の中に、手の付ようがないほどの子供な大人がいるからこそ、瀬能先生が物凄く大人に思えたりするのかもしれない。


「あっ、朱莉ちゃん、お茶淹れなくていいよ。わたし、もう戻らなきゃいけないし」

近しい存在の中じゃ、あたしと同じくらい大人の一葉の言葉に、あからさまにがっかりした社長を尻目に、


「今日はありがとね」

あたしはそう言って、身に纏ってる服を指差した。


グレーのワイドパンツに、あたしが散々嫌だと主張した、胸元がちょっとだけヒラヒラしてるキャミソール。


それを隠すようにして羽織るカーディガンはあたしじゃチョイスしそうにない白。


流石の一葉は履物まで用意してくれて、足元には履き慣れてないあたしでも転んだりしないように踵がぺったりしたミュールがある。