Some Day ~夢に向かって~
もう1つ、驚いたのは、最後の甲子園大会でケガをして、そのまま休学している白鳥先輩が、復学時期未定ながら、私と同じクラスになったことだ。


まさか先輩とクラスメイトになるとは思わなかった。ひょっとしたら、何かが動き出すのかな?


なんて、期待は全くしなかった。そして予想通り、次の日からは、何も変わらない日常。私はいつも通り、授業を受けて、1人学食でお昼を食べて、そして帰宅する孤高の日々。


変わったことと言えば、先輩の引退以降、唯一の寄り道場所だったグラウンドにも行かなくなったことと、家で机に向かう時間が、格段に増えたことくらいかな。


中間試験が終わると、6月に体育祭がある。私は内心期するものがあった。


私は実は運動系もちょっと自信がある、特に足には。中学の時には、陸上部でそれなりの成績も収めてた。高校でも、続けてよかったんだけど、何か別の世界もあるんじゃないかなんて、考えてしまったのが、今思うと、間違いの始まりだったのかもしれない。


この2年間、私は体育の授業を真面目に受けて来なかった。特に走ることに関しては、ハッキリ手を抜いていた。


だって、あの子スポーツも得意なんだ、なんて思われて、ますます近寄り難いって思われるのが、嫌だったんだ。


でも、それって、結局私の自意識過剰に過ぎないじゃんって、ようやく気付いた。それに辞めちゃったけど、陸上が決して嫌いになったわけじゃない。そろそろフラストレーションも溜まって来ていた。


やろう、2年以上、まともに運動してこなかった今の私が、どれだけやれるか、やってやろうじゃないの。もう、周囲からどう思われたって関係ない。どうせ、あと1年も経たないうちに、卒業しちゃうんだから。
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