Some Day ~夢に向かって~
登校時間の1時間も前ということで、校舎の中はまだ閑散としていた。
朝練が多い部活だったから、早目に登校することには慣れていたが、いつも部室からグラウンドに直行していたから、朝の校舎って、こんなに静かというか寂しいものなのかと、ちょっと驚きながら、俺は目的地に足を運んだ。
校長室、ほとんどの生徒が足を踏み入れることもないままに卒業して行くだろうその部屋が俺の目的地だった。ドアの前に立ち、別に緊張していたわけではないが、フッと一息ついてから、俺はノックした。
「おはようございます、白鳥です。」
「どうぞ、入りなさい。」
返って来た声に促されて、俺は中に入った。
「失礼します。」
入口で一礼して、頭を上げた俺の視界に入って来たのは柔和な笑顔をたたえた校長と、その横でなにやら心配げに俺を見ている1人の教師の姿だった。
「おぅ、おぅ帰って来たね。」
「ご心配をおかけしました。」
改めて頭を下げながら、近づく俺に校長は嬉しそうに声を掛けてくれた。
「何しろ、急にいなくなったんで、びっくりしたよ。」
「すみません。」
とりあえず俺としては、謝るしかない。
「まぁ、我が校の宝が中退なんてことになったら、私も世間に顔向け出来んからねぇ。まずは良かった、なぁ山上くん。」
「はい。」
(宝とは、また歯の浮くようなことを言ってくれる。)
相変わらずの校長の調子のいいセリフに内心苦笑いしている俺の心にはお構いなしに、校長は話を続ける。
「とりあえず、我々としてもサポ-トは惜しまんつもりだ。君も安心して、残り半年の高校生活を過ごしてしてくれたまえ。」
「ありがとうございます。」
「それでは校長、後は私の方で。」
「そうか、じゃよろしく頼むよ。」
「では、失礼します。」
何とも言えない居心地の悪さを感じていた俺を救うかのように、話に割って入ってくれた山上先生に伴われて、俺は校長室を後にした。
朝練が多い部活だったから、早目に登校することには慣れていたが、いつも部室からグラウンドに直行していたから、朝の校舎って、こんなに静かというか寂しいものなのかと、ちょっと驚きながら、俺は目的地に足を運んだ。
校長室、ほとんどの生徒が足を踏み入れることもないままに卒業して行くだろうその部屋が俺の目的地だった。ドアの前に立ち、別に緊張していたわけではないが、フッと一息ついてから、俺はノックした。
「おはようございます、白鳥です。」
「どうぞ、入りなさい。」
返って来た声に促されて、俺は中に入った。
「失礼します。」
入口で一礼して、頭を上げた俺の視界に入って来たのは柔和な笑顔をたたえた校長と、その横でなにやら心配げに俺を見ている1人の教師の姿だった。
「おぅ、おぅ帰って来たね。」
「ご心配をおかけしました。」
改めて頭を下げながら、近づく俺に校長は嬉しそうに声を掛けてくれた。
「何しろ、急にいなくなったんで、びっくりしたよ。」
「すみません。」
とりあえず俺としては、謝るしかない。
「まぁ、我が校の宝が中退なんてことになったら、私も世間に顔向け出来んからねぇ。まずは良かった、なぁ山上くん。」
「はい。」
(宝とは、また歯の浮くようなことを言ってくれる。)
相変わらずの校長の調子のいいセリフに内心苦笑いしている俺の心にはお構いなしに、校長は話を続ける。
「とりあえず、我々としてもサポ-トは惜しまんつもりだ。君も安心して、残り半年の高校生活を過ごしてしてくれたまえ。」
「ありがとうございます。」
「それでは校長、後は私の方で。」
「そうか、じゃよろしく頼むよ。」
「では、失礼します。」
何とも言えない居心地の悪さを感じていた俺を救うかのように、話に割って入ってくれた山上先生に伴われて、俺は校長室を後にした。