Some Day ~夢に向かって~
翌朝、教室に入った後、私はすぐ由夏に近づいた。

「由夏、おはよう。」

「悠、おはよう。」

「由夏、昨日はゴメンね。私、ちょっとイライラしてて。」

「ううん、私こそ、悠に何か気に障ること言っちゃったかと思って・・・。」

実はあの後、由夏から心配したLINEが入ってたんだけど、無視してしまった。一晩寝て、少々頭が冷えてみると、本当に悪いことをしてしまったと思って、私は朝一で謝ろうと学校に来た。

「そんなことないよ、私昨日はちょっと、どうかしてたみたい。ゴメンね。」

「それならいいんだけど、LINEも返って来ないから・・・悠に嫌われたのかと思った。」

「ホントにゴメンね、お詫びに今日は放課後甘いもの、ごちそうするよ。久しぶりにゆっくり話もしたいし。」

「うん、ありがとう。でも、よかった。」

ホッとした表情を浮かべる親友に、私は改めて申し訳ない気持ちになる。

由夏には謝れた。でも私にはもう1つやらなければならないことがある。私は昨日の夜、決めたことが2つある。1つは由夏に朝一で謝ること、そしてもう1つは・・・。

「おはよう。」

その決めたことを伝えようと思ってる人は、私が席に着くと、間もなく隣の席にやって来た。

「おはようございます。」

いつものように朝の挨拶を交わした先輩と私。そして、その後先輩は私の予想通りの言葉を口にした。

「なぁ、どうしたんだよ、昨日?」

私が何も言わずに帰ってしまったから、先輩からは当然心配したメ-ルが送られて来た。でも私はそのメ-ルも無視した。そして決めた。

「すみません、急いで帰らなきゃならなかったんで。」

そう答えて、一呼吸を置くと、私は告げた。

「先輩。」

「うん?」

「もう塾の帰り、送っていただかなくて大丈夫です。」

「えっ?」

「これ以上、ご迷惑おかけできません。本当にありがとうございました。」

「水木・・・。」

ビックリして固まってる先輩に頭を下げると、私は前を向いた。

私、ちゃんと笑顔で先輩に言えたよね。短い間の、短いひと時だったけど、私には幸せな時間だった。感謝してます。

でも、もう勘違いしたくない、由夏にも勘違いしてもらいたくない。これでいいんだ、遠い憧れの存在だった先輩とお話できるようになった、それだけで十分だ。これからもクラスメ-トとして、仲良くしてもらえればいい。

チャイムが鳴って、先生が教室に入って来た。今日も1日が始まる・・・。
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