Some Day ~夢に向かって~
昨日から先輩とは、学校ではほとんど話せてない。別に避け合ってるわけじゃなくて、単なるロ-テ-ションの問題。この後、私達が戻ると先輩は昼食休憩に入る、持ち場も違うから、仕方ないんだけど。


帰りも一緒にならなかったから、昨日家に帰ってからメ-ルしてみた。唯ちゃんのことも心配だったし、先輩とやっぱり話をしたかったから。


『今日はお疲れ様でした、先輩の活躍で盛況でよかったです。唯ちゃんの様子はどうですか?私は気にしてませんから、もう叱らないであげて下さいね。』


あの時のことを全く気にしてないというのは、正直嘘だけど、でも私も間違ってたんだし、唯ちゃんも先輩のことが心配のあまりの行動だったんだから。それにみんなの前で、あそこまで先輩に怒られたんだから、もういいんじゃないかなって思ったのも確か。


するとメ-ルがすぐに返って来た。


『お疲れ様。俺もメ-ル入れようと思ってたんだけど、先を越されちゃったな。なんか今日元気がなかったみたいだけど、大丈夫か?
先輩である水木に、あんな失礼なことを言った唯のことを心配してくれてありがとう。水木は優しいな、でも俺は水木にあいつがちゃんと謝らない限り、許すつもりないから。』


先輩、私の様子が変なのに気づいてくれてたんだ。でもそれってあなたのせいだから・・・とはやっぱり言えないし。


なんてことを考えていると、携帯が鳴り出す。


「もしもし。」


『もしもし、ゴメン、声聞きたくて、掛けちゃった。』


出ると、そんな嬉しい言葉が聞こえて来る。


「ありがとうございます、私もです。」


こうして始まった会話は20分はゆうに続いた。ホントはもっと続いたかもしれないけど、無粋な声が・・・。


「姉ちゃん、何やってんだよ。メシ冷めちまうぞ〜。」


階段の下から叫ぶ健太の声、もう・・・。


「ゴメンなさい、先輩。なんかご飯みたいで・・・。」


『あっ、夕飯まだだったんだ、ゴメンな。』


「いえ、とんでもない。私の方こそ、せっかく電話いただいたのに。」


『いいんだよ、水木の声が聞けたから。じゃ、また明日な。』


「はい。」


『明日・・・よろしくな。おやすみ。』


「はい、こちらこそ。おやすみなさい。」


よろしくっていうのはたぶん、文化祭のことじゃない。私は思わず、顔を真っ赤にしながら、携帯を握りしめていた。
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