Some Day ~夢に向かって~
「水木さん。」


午後、調理場に入って少しすると、加瀬くんが声を掛けてきた。


「はい。」


「もうすぐ白鳥さんが、休憩から帰って来るはずだから。」


「うん。」


「いよいよラストスパート、先輩には宣伝にまわってもらう予定なんだけど、君にも一緒に回って欲しいんだ。」


「でもそれは、別の子の予定じゃ。」


宣伝にまわるのは男女ペアと決まってて、ちゃんとロ-テ-ションも組まれてたはず。私は事前準備では広告班だったけど、今は調理班なんで仕方ないんだけど、先輩と一緒にまわれる子はうらやましいな、とは思ってた。


「うん、それがその子急遽、部活の方に駆り出されちゃってさ。旧宣伝班の中から誰か代わりに思ったんだけど、水木さんがいいって推薦があったからさ。」


それは願ったり叶ったりだけど、と思っていると、フッと由夏が意味ありげな視線をこちらに送ってることに気付く。そうか、由夏が気を遣ってくれたんだ・・・。


「わかりました。」


「よろしくな。」


「じゃ水木、さっそく行こうか。」


「えっ?」


突然した声にびっくりして、そちらの方を振り向くと、いつの間に戻って来てたのか、先輩が立ってる。


「じゃ、頼みましたよ。」


「受け入れ態勢はバッチリです。ジャンジャンお客さん呼び込んできて下さい。」


「おう、任せとけ。」


実行委員の2人にハッパをかけられて、私達は教室を出る。


(由夏、ありがとう。)


心の中でお礼を言うと、由夏は笑顔でVサインを送ってくれた。
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