地下室のフィアンセ ~秘密を愛しすぎた獣~

「ピエールに、ピエールに閉じ込められたの。私、逃げてきたのよ。あの悪魔から、助けて…!またあいつがおってくるかもしれない」


女は異常な雰囲気で警察官にせまった。


「落ち着いて、とりあえずお名前を………」


警察官は女を睨みつけた。警察官は女にある疑いを持っていたのだ。


「えっと…」


女は警察官の問いに言葉をつまらせた。この時、女には言い知れぬある『違和感』を感じていたのだ。


「署までご同行お願いできませんか。

あなたはあの女にそっくりだ………」


「えっ………」


女は血まみれの真っ白な服を着ていた。当然である。ついさっきピエールと名乗る男を刺し殺したからだ。


しかし、ついさっきついたはずのその血は、なぜかすっかり乾いて黒ずんでいた。


まるで何ヵ月も前に、すでに女は服に血を浴びていたように。

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