幼馴染みと、恋とか愛とか
こんな私だけど待っててくれる?
幼い頃のように、立ち止まって側に来るのを見ていてくれる?


近づいたら微笑んでくれる?
この手で優しく触れて、また助けてくれる?


もしも、そうなら私は__


「私…紫苑の隣に居てもいい?…また怖くなって怯えて、紫苑を拒絶することがあるかもしれないけど。

でも…紫苑の隣に立てるように精一杯努力するから…。それまでは…待たせることになると思うけど……」


目線を上げながらそう言った。
紫苑は茶色の瞳を大きくして、それからそっ…と項垂れた。


額に紫苑の前髪が触れてくる。
幼い頃と同じ距離に彼がいると分かった。



「萌音はそのままでいいんだ。俺が少しずつ萌音の心に近付く」


まずは指の先から…と笑う彼に微笑んでみた。
「やっと笑った」と喜ぶ紫苑の表情を眺めて、ホッと気持ちが和んだ。


どんなに苦しい過去を話しても変わらない態度に心から安堵した。

これからもこの距離にいてくれる紫苑を自分も大事にしていこう……と誓った___。



< 166 / 221 >

この作品をシェア

pagetop