キネウム王子とイーディス姫の溢れ出るパトス
何の変哲も無いとある公園で

右腕から胸を伝い左腕へと

巧みにボールを操り

雷電は人々を魅了します

手のひらから消えたボールは

とある子供のポッケから現れ

雷電が口から外したスカーフで

数秒間そのボールを包み込むと

五つのチキンナゲットへと早変わりし

空高く跳ね上げたそれらは

次々と上を向いた子供達の口の中へと

吸い込まれる様に落ちていきました

周りの人々は拍手喝采し

我も我もと

雷電の投げるナゲットを受け取る為

口を指差し子供達を押しのけます

欲深い大人達へは粗悪な肉を

無垢な子供達へは今しがた

殺したばかりの新鮮な鶏肉を

雷電の広報活動はまだまだ続きます
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