キネウム王子とイーディス姫の溢れ出るパトス
「姫は全ての行動を」

「親に支配されていたんだ」

「就寝から登下校、食事や入浴時間まで」

「全てにおいて細かく管理され」

「自由な時間など一秒も無く」

「勉強だけをする生活」

「そんな中で、唯一」

「煎餅の種類を親に願う事が出来たんだ」

「それが姫の自由」

目を瞑り眉間をとんとん叩いていた黒蛙は

木の実を一つ口に入れ言いました

「あの姫・・・煎餅横丁歩いてたよな?」

「あぁ、親の望みを一つ叶えたから」

「彼女の願いも一つ叶えられたのさ」

「自分の足で煎餅を買いに行くってね」

「それより・・・泣いてんの?」

「泣いてねぇよ、木の実が・・・だ」

「初めて食ったからびっくりしたんだよ」

「なんでこんなすっぺぇんだ馬鹿が」
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