キネウム王子とイーディス姫の溢れ出るパトス
「人魚はとても悲しみました」

「なぜなら人魚は人間が下劣で淫猥な」

「下等動物だと思っていたからです」

「発狂した人魚は産まれた子を殺そうと」

「魔法をかけようとしました」

「アリウムの王はそれを酷く悲しみ」

「近くにあった棒っ切れで」

「人魚の頭を打っ叩き」

「城の外へと追い出してしまいました」

「アリウムの王はその日から」

「王子が人間であるという事を隠し」

「王子を守る為、領地を広げ」

「王子の秘密を守る為」

「王子を領地から一歩も出さぬ様」

「護衛の兵士達に言い付けました」

「城から追い出された人魚は」

「脳に障害を抱え」

「記憶を保持する事が困難になりました」

「だが、人間を産み落としたという」

「記憶だけが鮮烈に焼き付き消えず」

「今では人間を見るだけで」

「破裂の魔法をかける始末」

「まさに人間界にとって」

「最大の危険因子なのだ」

「ふはははははー」
< 82 / 255 >

この作品をシェア

pagetop