溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
大人気ないと思いながらも、気づけば楓の婚約者だと口にしていた。

とどめがあの言葉。

『お前が終わらせたんだろ?あの三月末の雪の日に』

あの男を打ちのめすと同時に楓にあの日のことを思い出させた。

お前を裏切ったのはこの男だと。

そして、お前を初めて抱いたのはこの俺だと。

彼女が彼といて、焦りもあったのかもしれない。

本当は一発殴りたかった。

人目があって出来なかったが……。

俺を好きになれ。

深い思いを込めて、今度は優しく口付ける。

こんな風にキスするのはお前だけだ。

楓にそれが伝わったかどうかはわからない。

その身体を解放すると、彼女はしばらく放心状態だった。

「楓、帰るぞ」

その唇をゆっくりと親指の腹でなぞりながら声をかける。

すると、彼女は口をパクパクさせた。

「お前は餌を待つ雛鳥か?」
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