溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
遥のお父様は、微かに相好を崩した。

「……あ、ありがとうございます」

思わぬ温かい言葉に、ペコリと頭を下げる。

「この人、ぶっきら棒でごめんなさい。こんな綺麗なお嬢さんが遥のお相手だから照れているのよ」

ふふっと可愛く笑いながら遥のお母様がフォローを入れた。

「いえ、綺麗だなんて……そんな」

ブンブンと首を横に振って否定する。

素敵なご両親だ。

そんなふたりに『婚約者』だと大嘘をついて胸が痛い。

婚約者の振りなら問題ないと思ってた自分が馬鹿みたい。

「私……本当は……」

遥との取り決めを忘れ、真実を口にしようとしたら、遥が私の声を遮るようにお父様に話しかけた。

「親父は明日中国で会議じゃなかったか?」

「ああ。大統領のスピーチが終わったら失礼して北京へ行く。お前も粗相がないようにな」
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