溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
「楓?」

彼女が出たのかと思って呼びかけたが、出たのはスマホの持ち主ではなかった。

『遥、俺だけど』

……修也だ。

「楓はお前と一緒にいるのか?俺のマンションから慌てて出ていったみたいで」

まず彼女のことを聞くと、彼はいつもの穏やかな声で答えた。

『うん、楓は俺の泊まってるホテルにいるよ』

修也の言葉を聞いてホッとする。

とりあえず、彼のところにいれば安心だ。

「楓の様子は?」

きっとひどく取り乱しているに違いない。

修也は俺の質問には答えず、自分の要求を伝えた。

『遥、今すぐ俺の泊まっているホテルのバーに来いよ』

有無を言わせぬその口調。

声は落ち着いているが、修也の静かな怒りが伝わってくる。

俺の返事を聞かずに彼は電話を切った。

聞く必要なんてないからだ。
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