溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
修也は悪戯っぽく笑った。

「いいのか?」

カードキーを受け取り、じっと彼を見据える。

「遥の土下座見て溜飲が下がった。お前が自分のプライド捨てて俺に土下座するってことは、本気で楓が好きなんだろう?楓はお前が好きって言ってるし、邪魔するのは野暮ってもんだよ」

「悪い」

「謝るなよ。俺としてはお前が楓とくっついて良かったと思う。でなきゃ、俺が妹離れ出来なそうだから」

修也は寂しそうに笑う。

その顔を見て悟った。

こいつは楓を女として見ていたんじゃないだろうか?

だが、楓は彼の本当の妹。

道ならぬ恋だ。

「修也……?」

気遣うようにその名を呼べば、彼は呟くような声で本音を口にする。

「……楓と血が繋がっていないお前が羨ましいよ」

やっぱりそうなのか。
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