溺愛本能　オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
『楓のことを頼むよ。結構強がりで無茶ばっかりするから』

「ああ。わかってる」

自分に誓うように返事をすると、彼との通話を終わらせた。

そう楓のことを俺はよく知っている。

彼女の思考も、行動パターンも、修也の次に知っているのではないかと思う程に。

それから、また楓に電話をかけたが、案の定彼女は出なくて、避けられていると思った。

伝言を残したが掛け直してこない。

俺と話をするのが気まずいのだろう。

きっと俺と同じようにあの夜のことを後悔しているはず。

だが、もうなかったことになんか出来ない。

出ろよ。

そう念じながら楓に電話をかけたが、また留守番電話に切り替わった。

苛立ちが募る。

『このまま逃げられると思うなよ、楓』

そうメッセージを残して電話を切った。

電話じゃダメだ。

直接会いに行こう。

そう思って何度か彼女の寮を訪ねたが、いつ行っても不在。
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