溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
楓と行き違いにならなければいいな。

そう思いながら総務部に行けば、何か言い争う声がした。

「おい、止めろよ!」

メガネをかけた三十代前後の男性社員が、楓の横にいる若い女性社員を睨みつけている。

楓の顔は青白く、ひどく疲れた顔をしていた。

「……私は人のものは取らないよ」

頭痛がするのか頭を押さえながら、楓は隣にいる女性に向かって言う。

じっと見ていたら、突然楓が床に崩折れて、慌てて駆け寄った。

「楓!」

彼女の身体を抱きとめるが、あまりにか細くて驚く。

「は……るか?」

俺の声に反応して、俺の名を小さく呟く楓。

だが、目は開けない。

こんな状態で出勤してるなんて……。

「馬鹿!何やってるんだ!」

場所を忘れつい怒鳴るが、そのまま楓は俺の腕に倒れ込み、意識を失った。

あの日と比べてかなり体重も減っている。
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