わたしと専務のナイショの話
あ、祐人。
ちょっとめんどくさい仕事を終え、ホッとしながら、階段を上がってきた万美子は廊下に祐人の姿を発見した。
ちなみに、階段を上がってきたのは、プロポーションを保つため、出来るだけ階段を使うようにしているからだ。
「ゆ……」
祐人の姿を見るだけで、疲れが吹き飛ぶわ、と思いながら、声をかけようとしたのだが、祐人は資料室のドアを開けかけたまま、何処かを見ている。
その視線の先では、給湯室の前で、のぞみがお局様に叱られていた。
のぞみは、ぺこぺこ、笑いながら詫びているのだが、傍目に見ていると、
いや、あんた、本当に真面目に叱られてんの?
という感じだ。
やがて、お局様は、のぞみの何かに釣られたように笑い出した。
そのまま二人で、話しながら秘書室の方に行ってしまう。
「で、駅前のクレーンゲームはですね……」
というのぞみの声が微かに聞こえてきた。
いや、あんた、お局様になんの話してるんだ、と思ったとき、斜め前に居た祐人がのぞみの方を見ながら、少し笑った。
……なんだろう。
なにか気になるな、と思ったとき、祐人が振り向いた。