わたしと専務のナイショの話
えっ? そんな理由っ? と早苗の告白を聞いたのぞみと樫山は身を乗り出していた。
だが、早苗は、
「だって、考えてみて」
と真剣に語り出す。
「今までと全然違う場所に行くのよ。
全然違う都会、なら、まだなんとかなるけど。
全然違う田舎なんて、もう、無理無理」
と早苗は手を振る。
ある意味、素直な人だな……。
でも、うち、そんなに田舎じゃなかったんですよ?
いや、ほんとに……と高校まで住んでいた土地を思い出しながら、のぞみは思う。
そのとき、樫山が、ふう、と息を吐き出し、言ってきた。
「よかった。
京平が都会で教員にならなくて」
いや、だから、ほんとに、そんなに田舎じゃないんですよっ、と思うのぞみたちに、樫山が訊く。
「ところで、お前ら、いつ、結婚するんだ?」
京平が口を開きかけたとき、樫山は早苗を見て、微笑み言った。
「俺たちは七月頭の予定なんだが」