彼の隣で乾杯を
「由衣子さ、今度のプロジェクト、小林主任の右腕としてバリバリ働いているんだってな」
「・・・それはまぁ、与えられた仕事だからね」
「それでも、二人の息の合い方が尋常じゃない、二人はデキてるんじゃないかなんて噂が違う部署の俺のところに聞こえてくるほどだったからつい気になった。
・・・でも、悪かった。由衣子は仕事に私情を挟むようなヤツじゃないって俺が一番知ってるのに」
ああーっとため息に似た声を出して頭を抱えてうつむいた彼に胸が締め付けられる。
私、もしかしてすごく心配してもらってる?
「ありがと。心配してくれたんでしょ。すごくうれしい」
顔をあげた高橋に笑顔を見せた。
「大丈夫って言ったのは、私にサポートスタッフをつけてもらえることになったから、主任と二人きりの出張じゃなくなったってこと。
大丈夫じゃないと言ったのは、主任を見ると過去を思い出して嫌な気持ちになるからなの。わかってもらえる?主任に気持ちが残ってるとかじゃない」
「なんだ。そっか」
高橋はホッとしたというように息を吐いた。
「余計なお世話だったな。悪かった」
「そんなことない!…心配してくれて嬉しかった。私も高橋に話したいって思ってたから」
「そうか?」
「そうだよ」
拳を握って力強く頷くと高橋も笑顔になった。