彼の隣で乾杯を
高橋はというと…オーダーすると「ちょっと待ってろ」と言って席を立って行ってしまった。

全く状況が把握できてないんだけど。
どうして高橋がイタリアにいるのか、そして大使館のレセプションに来たのか。
無理やりに近く私を連れ出したのか。

ぜひ説明して欲しい。

・・・そういえば、神田部長から聞いていたのは派遣する部下は誰のことだろう。
あの人、一体だれを何のために派遣したんだろう。
一体何がどうなっているのやら。

ピッツァのサーブと一緒に高橋がテーブルに戻って来た。

「おっ、ちょうどだな」

笑顔でピッツァに手を伸ばす高橋に眉をしかめて見せる。

「ねぇ、やっぱりビール飲みたい。ピザにビール無しなんてどう考えてもおかしい。私の今日の仕事は終わったんだよね?だったら私、一杯くらい飲んでもよくない?」

「却下。さっさと腹にいれろよ。時間ないんだから」
すぐさま私の要求は却下されてしまう。

「何の時間?」

「食ったらすぐにお前の泊まってるホテルに戻ってチェックアウトするから」

「ちょ、ちょっと待って、チェックアウト?何で」

「移動するんだ」

「どこに」

そこで高橋はニヤリと笑った。
「ピエモンテ州に移動」

ピエモンテ?どこ、そこ。

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