彼の隣で乾杯を
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「な、我慢した甲斐があっただろ?」
「うん、あった、あった」
私は芳醇で深みのある甘い香りとさらりとした味わいの赤ワインを堪能していた。
「この鴨肉も美味しいし。あ、次は白も飲みたい」
「はいはい」
はしゃぐ私に高橋も楽しそうにワインのおかわりを頼んでくれる。
あれから慌ただしくローマを離れ、今はトリノにいる。
高橋の説明によると、私の出張のメインだった海外事業部の業務分は大使館レセプションをもって終了。それ以降の私の業務は営業三課の神田部長からの指示に従ったものになっているのだという。
高橋は神田部長の指示でイタリアに来ていた。
今夜から私の業務内容はというと、神田部長の部下に帯同すること。
そう、高橋にくっついていればいいってことだった。
空港で小林主任に連絡をすると主任から「神田部長の指示ならわが社の最優先事項だ。頑張っておいで」と激励された。
私が高橋に連れ出された後で主任は林さんから神田部長の指示を聞かされたというのだ。
それにしてもーーー異国で高橋と二人で出張とか…ふふふ。嬉しすぎる。
思わず顔面の筋肉が緩んでしまう。
「ね、いつからこっちにいたの?」
「一昨日ドイツに入ってた。で、そっちを片付けてすぐローマに飛んで今日で仕事が終わる由衣子を迎えに来たってわけだ」
「これ全部神田部長の指示なんでしょ?明日はどこに何しに行くの?一体どんな仕事?」
「部長の指示か。そうだけど、そうじゃない」
「え?」
「副社長のせいでこのところろくに休んでないからな。タヌキもそこんとこよくわかってるから、ドイツのついでに休暇をくれたようなもんだ」
「休暇?私のイタリア語のフォローが必要なビジネスじゃないってこと?私はどうなるの?」
「もちろん、表面上の仕事はあるから心配すんな。由衣子だってろくに休んでないだろ。タヌキがくれた休暇を楽しもうぜ」
私も半分休暇?思ってもみない展開に開いた口が塞がらない。
さすがタヌキ。
「な、我慢した甲斐があっただろ?」
「うん、あった、あった」
私は芳醇で深みのある甘い香りとさらりとした味わいの赤ワインを堪能していた。
「この鴨肉も美味しいし。あ、次は白も飲みたい」
「はいはい」
はしゃぐ私に高橋も楽しそうにワインのおかわりを頼んでくれる。
あれから慌ただしくローマを離れ、今はトリノにいる。
高橋の説明によると、私の出張のメインだった海外事業部の業務分は大使館レセプションをもって終了。それ以降の私の業務は営業三課の神田部長からの指示に従ったものになっているのだという。
高橋は神田部長の指示でイタリアに来ていた。
今夜から私の業務内容はというと、神田部長の部下に帯同すること。
そう、高橋にくっついていればいいってことだった。
空港で小林主任に連絡をすると主任から「神田部長の指示ならわが社の最優先事項だ。頑張っておいで」と激励された。
私が高橋に連れ出された後で主任は林さんから神田部長の指示を聞かされたというのだ。
それにしてもーーー異国で高橋と二人で出張とか…ふふふ。嬉しすぎる。
思わず顔面の筋肉が緩んでしまう。
「ね、いつからこっちにいたの?」
「一昨日ドイツに入ってた。で、そっちを片付けてすぐローマに飛んで今日で仕事が終わる由衣子を迎えに来たってわけだ」
「これ全部神田部長の指示なんでしょ?明日はどこに何しに行くの?一体どんな仕事?」
「部長の指示か。そうだけど、そうじゃない」
「え?」
「副社長のせいでこのところろくに休んでないからな。タヌキもそこんとこよくわかってるから、ドイツのついでに休暇をくれたようなもんだ」
「休暇?私のイタリア語のフォローが必要なビジネスじゃないってこと?私はどうなるの?」
「もちろん、表面上の仕事はあるから心配すんな。由衣子だってろくに休んでないだろ。タヌキがくれた休暇を楽しもうぜ」
私も半分休暇?思ってもみない展開に開いた口が塞がらない。
さすがタヌキ。