モテ期到来!?!憧れ上司とイジワル同期に迫られてます
後ろめたさが顔には出ていなかった筈だ。

秘書で得た笑みが私の心を隠してくれただろう。

どんな時でも笑顔で対応する秘書としての武器がーーー。


「ふぅー。」


大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせる。

絶対に知られたくない。

例え何もなくても、剛の部屋に泊まってしまった事は知られたくない。


「大丈夫、隠せる。」


だって剛が取締役にバラすメリットもないし、剛にとっては大した事ではない筈。


『本気の女しか部屋に入れない』


剛の言葉が蘇る。

それは女性として見ている女限定の話だろう。

私は…………


「ないわ。」


私と剛は犬猿の仲とも言える。

いつも言い合いばかりで男女の仲には程遠い。

気持ちを切り替えて秘書課へ戻り、日課となっているコーヒーを淹れる。

いい匂いが漂っている。


「そういえば……剛の淹れてくれたコーヒーも美味しかったな。豆が高級なのかな?」


コーヒーを見つめていた私は剛の部屋で飲んだコーヒーを思い出していた。
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