モテ期到来!?!憧れ上司とイジワル同期に迫られてます
心の整理がまったくつかない。


「悠菜、考えておいて。」


取締役の手が離れていく。

交わる視線が逸らせない。

バクバクと鼓動が速い。


「キスしていいの?」

「えっ?」

「そんなに見つめられたらキスしたくなる。」

「あっ、いえ。」


慌てて立ち上がった。

一歩後退りして取締役を見つめた。


「悠菜、明日の夜は空けておいて。」

「えっ?」

「食事に行こう。」

「あっ、はい。」


あたふたする私に笑い声が聞こえる。

どうやら取締役が挙動不審な私を笑っているみたいだ。

恥ずかしさにお辞儀をして部屋を出て行こうした。


「本気だから。」


最後に聞こえてきた取締役の真剣な声に小さく頷いた。

そのまま部屋を出て、扉に凭れ掛かる。

尋常じゃない速さで鼓動が鳴っている。

憧れの人からの告白に口元が弛む。

必死に平静を装うが装えない。

嬉しすぎる。

何度も呼吸を整えて秘書課に戻っていった。
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