ストロベリームーン

 1秒にも満たないあの瞬間が、それからの僕の人生の全てを変えた。

 あの一点さえなければ彼女との想い出は僕の中で美しく完結した。

 僕が人殺しになっても。

 ごめんよ。ごめん。どうしてあの時あんなことを思ってしまったのか。

 どうしてすぐに返事ができなかったのか。

 嘘だ。全て君のせいだ。

 なぜ君は僕の美しい想い出通りの少女じゃなかったんだ。

 違うよ、違う。君は何も悪くない。

 君はただの可哀想な女の子だったんだ。

 いや、君は女じゃない。

 何言ってるんだ。女の子だ。

 僕は、何のために罪を犯したんだろう。

 愛のためだったと思いたい。

 僕は彼女を愛していたのだと信じたい。




 店の外に出るとさっきまで雲に隠れて見えなかった月が出ていた。

 大きな茶褐色の月だった。

『ストロベリームーンだ』

 彼女が言った。

『好きな人と永遠に一緒にいられるんだって』



 孝哉は指輪をそっと撫でた。

「僕は君を愛していたんだよね?ほんとうに。ずっと昔のことすぎて僕にはもう分からなくなってしまった。でもお前なら覚えているだろ」

 孝哉は月を見上げた。





 了

< 153 / 153 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

裏切り者の君へ

総文字数/76,062

恋愛(純愛)103ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
何度も何度も裏切られ、 最後に残ったのは切ない本当の愛だった.....。 読者まで裏切られる物語をお楽しみ下さい。
赤い糸

総文字数/4,020

恋愛(純愛)13ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
赤い糸
雨の降る世界で私が愛したのは

総文字数/146,965

恋愛(純愛)361ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
他の女の子のようにまだ恋する気持ちが分からない、雨が降り続ける世界に住む一凛。 そんな一凛の心に触れたのは、 雨雫で銀色に背中が光る、シルバーバックの……。 一凛が愛したのは人ではなかった。 それでも一凛は彼への愛を貫いた。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop