その瞳は、嘘をつけない。
21時に仕事を終えて、コンビニに寄ってから家へ向かった。
午前中のうちにスーパーに行けばよかったんだけど、つい掃除に熱中してしまったので、食材も足りなくて。
今日くらいは、いいよねとお弁当を買ってみた。
もちろんスイーツも。
3つも買っちゃった。

アパートについて、バッグから鍵を取り出しながら階段を登る。
いつも鍵を入れているポケットに鍵が入っていなくて、あれ?なんて思いながらバッグの中をごそごそしてたら、違うポケットに入っていた。
自分ではしっかりしていたつもりだったけど、ぼーっとしてたんだな、朝。
家を火事にしたりしないようにしないと、と気を引き締める。
2階に上がって、部屋の扉に向かおうと顔を上げた時に、視界に入った。
私の部屋の前で、扉にもたれかかっている。

「秀くん・・・・」
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