もう一度、愛してくれないか
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多少時間は押したが、会議が終わったあと、

「……そんで、専務、お相手はバレました?」

伊東が小声で訊いてきた。心なしか、目がらんらんと光り輝いているように見えるが。

「詳しいことは豊川君にでも訊けばいい」

……あんな話、二度も繰り返したくない。

「それが無理なんっすわぁ」

伊東は弱り切った顔をした。

「スリートップから難攻不落の『箝口(かんこう)令』が敷かれてまして、会社生活を平穏無事に過ごしたい女子社員たちが口を割りやがらへんのですよ」

それはよかった。さすが、スリートップだ。


「せやけど、専務、ひとこと言うてくれはったらお教えしたのに。休日のキタはあきませんよ。スリートップの『組員』たちがごろごろ『地回り』してますからね。今までにも社内で二股かけてたヤツらがバレて、血祭りにあげられてますわ。おれら男子社員からしたら、ヤツらはナチのゲシュタポか旧ソ連のKGBっすよ。まぁ、専務は東◯の奥やったら穴場やって思わはったんやろうけど、甘いですわぁ。それやったら、桜◯宮の方がベタやけど、まだマシっすよ。数が多いですからねぇ。ミナミの道◯堀や宗右◯門町は『地回り』してるらしいっすけど、その奥の島◯内なんかやったら、女の子が歩きにくいから『組員』もノーマークっすよ。あっ、専務、谷町線の沿線っすよね?ほんなら、◯九がそこそこリーブナブルでおススメです。近鉄の駅で言うと◯六ですわ」


……なんの情報だ?

悪いが、これからは「外」を利用することなく、「うち」ですることにしたから。

そんな情報は一切、必要ない。

「……君は爽やかイケメンのラガーマンだと思っていたけれど、実はいろいろとお盛んだったみたいだな?」

地を這うような低ーい声でつぶやいてみた。
絶対に、こいつにだけは「真相」を言うまい。

「いやいやいや、『利用』していたのは学生の時っすよー。しかも、一回生や二回生の調子に乗ってた時分で、今の彼女とつき合ってからは彼女一筋です」

伊東は目の前で手のひらを振りながら、あわてて言った。

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