向日葵
「ごめんね、香世ちゃん。
あたしも香世ちゃんの本当の娘になりたかったけど、でも、智也のことそんな風に見ること出来なかった。」
「良いのよ、わかってる。」
そう言った彼女はあたしの体を離し、そして真っ直ぐにこちらを見つめながら、“ねぇ、なっちゃん”と、そう言葉を紡ぐ。
「智也がね、寂しそうに電話してきて。
夏希が幸せになってんのを親友として喜べない俺は、最低なのかな、って。」
「……え?」
「でも、龍司さんだったら良いかなって思うんだ、ってね。
多分、未練があるんだよ、アイツも。」
「…何、言って…」
香世ちゃんの言葉に戸惑うように視線を泳がせてみたものの、口元を緩めたそのままで、彼女はそれ以上の言葉を飲み込んだ。
それはつまり、智也があたしのことを好きだったってことだろうか。
「智也だって色んなこと考えてるけど、なっちゃんは気にせずに幸せになることだけを考えなさい。」
「…いや、うん…」
「なっちゃんのウエディングドレス姿、楽しみにしてるわ。」
瞬間、真っ赤になってしまったあたしに向け、彼女はやっぱり笑っていた。
そんな日が来るなんて考えたこともなかったけど、でも、何だか本当にくすぐったくなるばかり。
「ありがと。
今日、香世ちゃんに会えて良かった。」
「私もよ、なっちゃん。」
そんな言葉を交わしていれば、飲み物を買い終えたクロが近付いてきた。
それから二人で香世ちゃんに挨拶をし、あたし達は病院を後にした。
お昼が近い太陽は真上まで昇り、まるで照らすように光を注いでいる。
あたしも香世ちゃんの本当の娘になりたかったけど、でも、智也のことそんな風に見ること出来なかった。」
「良いのよ、わかってる。」
そう言った彼女はあたしの体を離し、そして真っ直ぐにこちらを見つめながら、“ねぇ、なっちゃん”と、そう言葉を紡ぐ。
「智也がね、寂しそうに電話してきて。
夏希が幸せになってんのを親友として喜べない俺は、最低なのかな、って。」
「……え?」
「でも、龍司さんだったら良いかなって思うんだ、ってね。
多分、未練があるんだよ、アイツも。」
「…何、言って…」
香世ちゃんの言葉に戸惑うように視線を泳がせてみたものの、口元を緩めたそのままで、彼女はそれ以上の言葉を飲み込んだ。
それはつまり、智也があたしのことを好きだったってことだろうか。
「智也だって色んなこと考えてるけど、なっちゃんは気にせずに幸せになることだけを考えなさい。」
「…いや、うん…」
「なっちゃんのウエディングドレス姿、楽しみにしてるわ。」
瞬間、真っ赤になってしまったあたしに向け、彼女はやっぱり笑っていた。
そんな日が来るなんて考えたこともなかったけど、でも、何だか本当にくすぐったくなるばかり。
「ありがと。
今日、香世ちゃんに会えて良かった。」
「私もよ、なっちゃん。」
そんな言葉を交わしていれば、飲み物を買い終えたクロが近付いてきた。
それから二人で香世ちゃんに挨拶をし、あたし達は病院を後にした。
お昼が近い太陽は真上まで昇り、まるで照らすように光を注いでいる。