向日葵
そう吐き出したクロは、最後に強くあたしを抱き締めた。


離れたり、くっついたり、あたし達はそうやって、少しずつ築き上げてきたはずだったけど。


まるで最初から、幸せになれないと運命づけられているようにも感じてしまう。



「俺、やっぱマトモじゃねぇんだよ。
キレたら収拾つかなくなるし、無理やりにでもヤりたくなる。」


「―――ッ!」


「…お前のこと、ぶっ壊したくねぇんだ…」


震えた自らの手の平に視線を落とした彼は、そう声を絞り出した。


やっぱりあたしは、クロを傷つけることしか出来ないのだろうなと、そう思うと悔しくて、でも、何も出来なくて。



「自信ねぇんだよ、もう。」


一緒に居ることも、過去と向き合うことも。


クロの言葉がそんな風に聞こえ、ただ苦しくて堪らなかった。



「…ごめん、なさい…」


「違う、悪いの全部俺だから。
だから夏希は、ちゃんと支えてくれる男探せよ。」


こんな時でもなるべくあたしの傷つかないで済む言葉を選んでくれるクロは、やっぱり優しいばかりで、本当に嫌になる。


ゆっくりと体を離したら、クロは視線を落とすようにしてあたしを引き留めることはしなかった。





『龍司さんのこと、大事にしてやれよ。』


大事だったから、これ以上壊れて欲しくなったんだ。








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