向日葵
無言でクロの車から降りると、彼は“じゃあな”とポツリと呟くのみ。
これで全てが終わったのだと思うと、どうしようもなくやりきれなくなる。
吹き抜けた夜風は濡れた頬を通り過ぎ、そこにひんやりとした感覚を残してくれた。
結局言葉は見つからなくて、バタンと扉を閉め、あたしはクロの車に背を向け歩き出す。
トボトボと歩いているうちに陽平のアパートまで辿り着き、ひどく重たい体のままに階段を登った。
登って、そして部屋のドアをガチャッと開け、吸い込まれるように寝室の扉を開けてみれば、驚いた顔がこちらに向いて。
「おかえり、っつーか。
お前、その顔どしたの?」
陽平は読んでいた雑誌を投げ、立ち尽くすあたしに目を丸くしたように体を起こしてくれる。
そんなにひどい顔をしているのかと、そう自嘲気味に笑うことしか出来ないまま。
まるで倒れ込むように陽平の体に自らを預けると、不思議そうに眉を寄せたまま彼は、あたしを抱き締めた。
抱き締めて、そしてもう一度“何かあった?”と、そう問い掛けてくる。
「何にもないよ。」
そう返し、陽平の唇へと顔を近づければ、やっぱり驚いたままに彼は、それを受け入れるようにして唇をあてがい、そして深く舌を絡めてきた。
“珍しいじゃん”と、まるで独り言のように呟かれた声は混じる吐息に消え、体は簡単に反転させられるようにして、ベッドへと押し倒された。
やっぱり気持ち悪いなと、そう思ったのだけれど、先ほどのことを忘れさせてくれるのなら、もう何でも良かったのだ。
あたしにはこんなのが似合ってて、恋愛なんてしたいとも思わない。
思わないはずなのに、何故こんなにも、クロのことばかりが頭の中を占めているのだろうなと、手放してしまいそうな意識の中でそう思った。
心とか体とか、色んな場所が痛くて、もうどこが痛みを放っているのかさえも、定かではない。
これで全てが終わったのだと思うと、どうしようもなくやりきれなくなる。
吹き抜けた夜風は濡れた頬を通り過ぎ、そこにひんやりとした感覚を残してくれた。
結局言葉は見つからなくて、バタンと扉を閉め、あたしはクロの車に背を向け歩き出す。
トボトボと歩いているうちに陽平のアパートまで辿り着き、ひどく重たい体のままに階段を登った。
登って、そして部屋のドアをガチャッと開け、吸い込まれるように寝室の扉を開けてみれば、驚いた顔がこちらに向いて。
「おかえり、っつーか。
お前、その顔どしたの?」
陽平は読んでいた雑誌を投げ、立ち尽くすあたしに目を丸くしたように体を起こしてくれる。
そんなにひどい顔をしているのかと、そう自嘲気味に笑うことしか出来ないまま。
まるで倒れ込むように陽平の体に自らを預けると、不思議そうに眉を寄せたまま彼は、あたしを抱き締めた。
抱き締めて、そしてもう一度“何かあった?”と、そう問い掛けてくる。
「何にもないよ。」
そう返し、陽平の唇へと顔を近づければ、やっぱり驚いたままに彼は、それを受け入れるようにして唇をあてがい、そして深く舌を絡めてきた。
“珍しいじゃん”と、まるで独り言のように呟かれた声は混じる吐息に消え、体は簡単に反転させられるようにして、ベッドへと押し倒された。
やっぱり気持ち悪いなと、そう思ったのだけれど、先ほどのことを忘れさせてくれるのなら、もう何でも良かったのだ。
あたしにはこんなのが似合ってて、恋愛なんてしたいとも思わない。
思わないはずなのに、何故こんなにも、クロのことばかりが頭の中を占めているのだろうなと、手放してしまいそうな意識の中でそう思った。
心とか体とか、色んな場所が痛くて、もうどこが痛みを放っているのかさえも、定かではない。