御曹司の愛され若奥様~24時間甘やかされてます~
お父様とは普段からよく会話はするけれど、部屋に呼び出されることは珍しい。
私、何かしたっけ? と思いながら、とりあえず部屋へ向かう。


コンコンとノックをしてから、扉のドアノブを回す。

お父様の部屋は、半分はお父様の趣味の書物で埋め尽くされている。
部屋の真ん中にガラスのテーブルと、それを囲むようにソファが置いてあり、壁側にはたくさんの本棚が置かれ、棚の中には小難しそうな本がびっしりと詰まっている。

そのソファに座った状態で、お父様は「よく来てくれたね。そこ座りなさい」と言って、自分の正面にあるソファを指差す。


腰をおろすと、ソファが柔らかく沈み、お父様と対面する形となる。


そして。



「本当はもっと前に言わなければならなかったのに、日和のことが可愛すぎて、手放したくなくて、今日というギリギリの日まで言えなくてすまなかった」

本当はもっと前に言わなければならなかった? 今日というギリギリの日まで言えなくてすまなかった?
お父様が言おうとしていることはサッパリわからないものの、何やら不穏な空気は感じる。


私が戸惑いながら首を傾げると、お父様は私に告げた。


私にはお父様が決めた結婚相手がいること、

そして、


相手の家が保有する別荘地で、今日からしばらく、結婚相手と二人で暮らしてみることになっていることを。



〝会ったこともない人といきなり結婚するのは日和が可哀想だから、相手と一緒に暮らしてみるという仲良くなる機会を設けることにしたよ〟とお父様は言うけれど、


全く嬉しくない気遣いだ!
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