御曹司の愛され若奥様~24時間甘やかされてます~
切れ長の目に、長い睫毛。
筋の通った高い鼻に、形の良い薄い唇。
女性でさえ嫉妬しそうな程に、肌は透き通っているかのごとく綺麗だ。
顔だけでなく、身長百八十センチはゆうに超えていると思われるスタイルの良さ。一見細身だけど肩幅が広く、きっと引き締まった筋肉質な身体をしている。
スッキリと切り揃えられている少し茶色っぽい髪は、サラサラと風に触れている。


不覚にも、本当に不覚にも一瞬見惚れてしまった。
でも、いくらイケメンだからってホイホイとこの人の嫁になる決意が出来るほど私は軽くない!



私の正面に立った男性は、私と目を合わせてから、にっこりと優しく微笑んだ。

う。笑顔までも素敵だ……。



「大和田 陽平(ようへい)です。よろしくお願いします、日和さん」

話し方も物腰も柔らかい。
何ていうか……育ちの良い好青年、では表現力が追い付かない。本物の王子様です、と表した方がしっくりくる気がする。
ああ、この人の背後に、キラキラと眩しいオーラが見えるような。


って、そんなことを考えている場合じゃない。
家出に失敗して、ここまで来てしまった以上、私がやることは一つだ。それは勿論、この人の嫁になる覚悟……ではなく。


「大和田さん」

「陽平でいいですよ」

「いえ、大和田さん。私の父に一緒に抗議してください」
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