騎士団長のお気に召すまま
「レオナルド」


「そんな悔しそうな顔をするなよ。

今回は事が事だ。お前はここにいてお前のするべきことをしろ、団長」


レオナルドはいつものように白い歯を見せて明るく笑う。

その笑顔にシアンも何も言えなくなったのか、溜息をこぼして「お願いします」と素っ気なく言った。


「はいよ、団長」

「いつも思いますが、レオナルドの発言はとても軽く思えますね」

「はは、そいつが俺のいいところだ」


いつもの調子で笑顔を絶やさないレオナルドにシアンがまたひとつ溜息をこぼしている中、アメリアもひとつの決意をした。


「私も調査に行きます」


その言葉にシアンも、レオナルドも目を見開いた。それから顔を見合わせる。


「…何を言っているのです?」


シアンは眉間に皺を寄せて視線を鋭くする。

その怖さにアメリアは震えそうになるけれど、握る拳に力を込めて見つめ返す。


「今言ったとおりです。私も副団長と共に調査に出ます」

「だから、どうして貴女が調査に出るのです?分かっているのですか、この状況を」

「分かっていますよ」


シアンの言葉にかぶせるように、アメリアは強く言った。


「今は調査が最優先のはずです。そのためにできる限りたくさんの団員で調査して、少しでも信頼性のある結果を陛下に提出せねばならないのでしょう?

団長からすれば私はまだ世間知らずの箱入り娘なのかもしれませんが、少しは世間を知りました。少しは役に立つはずです」


< 124 / 148 >

この作品をシェア

pagetop