騎士団長のお気に召すまま
釘を刺すレオナルドに、シアンは「そのまさかです」と文書をアメリア達に示す。


「国王陛下からのお達しです。青の騎士団はマリル港でフォルストに関する調査を行うようにと。調査結果は逐一報告するようにともありますから調査は急を要します。団長として僕も行かねば間に合いません」

「そんなこと言ったって、お前がここを抜けたらどうするんだよ、お前にはここの長としてやらねばならないことが多くあるだろう!」

「今まで僕が調査に出かけることも何度もあったのですから、問題はないでしょう。それに今回の調査は国王陛下直々の命令です。とても無下にできませんし、責任を持たねばなりませんから」

「ならば、なおさらお前はここに残るべきだ!万が一の時に騎士団長がいなければこの国はどうなる!この国をさらに危険にさらして混乱させるつもりか!」


いつになく厳しい口調で反論する副団長は真剣な顔つきだった。

それもそのはず、こんな状況であるのに騎士団から団長が抜けるなどあってはならない。

レオナルドの言葉は説得のようでもあり、懇願のようでもあった。

それも分かっているのだろう、けれど判断できずにいるシアンは煮え切らない。そんな団長にレオナルドは言った。


「そんなに心配なら、責任がいるなら、お前の代わりに俺が行く」


その提案にシアンもアメリアも目を見開いた。

まさかあのレオナルドがこんな提案をするなど思っていなかったのだろう。


「必ず俺が、陛下の望む調査結果を持ってくる。

だからお前はここで待ってろ」


< 123 / 148 >

この作品をシェア

pagetop