【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
それから1週間。
いつの間にか夏風が秋風に変わってしまった。
ちょうどいい温度を保てるこの季節、けど。なぜか隣に誰かがいないと寂しくなってくる。
風が私の髪を揺らしながら、足元にある紅葉を奪っていった。
「ーーーあれ?彩羽ちゃん?」
可愛いお店の裏にある空き地は、私が必ず通らなければいけない学校の帰り道で。
顔を上げて、秋空を揺れる瞳でジッと見つめていたら。
「...歩夢...さん?」
後ろを振り返れば、絶対に忘れることなんて出来ない、でも今は会いたくなかった。
赤いネクタイに白いスーツがとっても似合ってる歩夢さんが立っていた。
「彩羽ちゃん久しぶり」
「お久しぶりです...あのっ」
歩夢さんには蘭君の腕が治るまで世話係を任せられていたのに。
私は逃げ出してしまったんだ。
向き合えなかった...
怖かった、あの時の蘭君。
思い出しただけで、今でも身体が震えて、しっかりと歩夢さんを見ることが出来ない。