【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
*
「彩羽ちゃーん、着いたべよ」
前から聞こえてきた未知さんの声に反応してバイクから降りる。
数分経って蘭君の住むマンションに着いた。
ごくりと唾を飲んで見上げた最上階の蘭君の部屋は、なんだか真っ暗に見えて虚ろだ。
「んじゃ俺はここで」
言いながら、私の肩を軽く叩く未知さん。
「えっ、未知さん帰っちゃうんですか?」
「当たり前、俺邪魔じゃん。」
「そんな事...」
「それに俺がいたら話にならないから。
彩羽ちゃんと蘭、2人で話し合わなきゃ意味無いだろ?
ちゃんと蘭のハート掴んでこいよな〜、彩羽ちゃん!」
相変わらずの軽いノリで言われ、呆れてものも言えない私は
被っていたヘルメットを未知さんの胸に押し付けた。
「蘭君のこと、任せてください」
ふざけた雰囲気を切り裂いて、凛とした目で未知さんに伝えた。
未知さん、こんな時でもふざけてるけど
本当は蘭君のこと心配で仕方ないんだ。
そんな未知さんに蘭君のことを任されたら、認められたんだって浮かれてしまうよ、私。