【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。





そして

約束をした次の日



連れてこられた場所は、蘭君のお父さんのお墓だった。


タキシード姿で父親の墓に花束を置く蘭君は
いつもと雰囲気が違う。


少し...寂しそうだ。


手を合わせて目を閉じてる彼が、語りかけるようにゆっくりと口を開いた。



「なあ、父さん。
昨日、あの女と鈴と縁...ちゃんと切ってきたよ。
不思議だよな、家族なのに感情ひとつで呆気なく関係が終わるんだぜ?」



クスリと笑う蘭君は、空が曇り始めても、気にせず話し続けた。



「あんたに縛られて生きてきた人生、...父さんは俺に一人ぼっちだと言ったよね?
でもそうじゃなかった。
現れたんだ、俺を見放そうとしない奴が。
どんなに突き放しても、どんなに冷たくしても、こいつは俺から離れない。
そして俺もこいつから離れられない。」



ーーーぎゅっと肩を、抱き寄せられて。

お墓の前で結婚式でもしてるみたい。


蘭君は、天国のお父さんに私との一生を誓う。



そしてそれは

お父さんとのお別れでもあった。




「父さん...もう俺、父さんには会いに来ないよ。
これが最後のお墓参りだ」




"お別れだよ、父さん"






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