Flower love
「さて、歩ける?」
ロアはずっと机に体重をかけて立っているあたしに近づき、手を差し出す。
「だ、大丈夫ですっ」
あたしは慌てて首を振り、自力で歩こうとした。
が、足元がおぼつかない。
と、椅子の足に躓いて、あたしの身体は倒れる。
「っと」
それをロアが抱きとめてくれ、顔面を床にぶつけることはなかった。
「ご、ごめんなさいっ」
あたしは慌ててロアから離れようとするが、ロアはがっしりとあたしを抱き締めていて、離れることが出来ない。
「……ロアさん?」
いつまでも黙っているロアの顔を、あたしは不思議に思いながら見つめた。
「……リンちゃんさぁ、少しは警戒心というものを持った方がいいと思うよ」
ロアはにっこりと笑顔で、あたしの髪を優しく撫でている。
「えっ?」
「部屋で男と二人っきり。おまけにお酒を用意してるとなったら、なお更ね」
ロアの表情は変わらず笑顔。
あたしは首を傾げた。
何が言いたいんだ?
「リンちゃん、知ってた? 僕も……男なんだよ」
ロアはあたしの顎に手をかけ、上を向かせて自分の唇をあたしの唇に重ねる。
「っ……!」
あたしは驚いて目を見開いた。
思わずロアを突き放そうとするが、右手であたしの頭を掴み、左手は腰に回されて身体を逃がさないようにしているため、全くもって動かない。
「んっ……ぅっ……」
ロアの濃厚なキスで息苦しくなって、抵抗が出来なくなった。
力がだんだんと抜けていく。
すると、やっと少しだけ唇が離れた。
「……やめっ……」
息苦しくて、自然と涙が出てくる。
そんなあたしをロアは笑顔で見つめた。
「そんな顔して言われても、誘ってるようにしかみえないよ?」
ロアはあたしをお姫様抱っこして、ベッドに寝かせる。
その上に、ロアが覆いかぶさった。
「や、だ……」
「僕ねぇ、もうリンちゃんが苦しむ顔なんて見たくないんだ」
あたしは目を見開いてロアを見つめる。
そんなふうに思っていたなんて、知らなかった。