Flower love

「僕なら……ラウルのこと忘れさせてあげられるよ。もう、苦しい思いなんてさせないから」

囁くように言われ、思わず鳥肌が立つ。

そして、再びロアはあたしの唇を奪った。

「ふっ……ぁっ……」

このまま、ラウルのことが忘れられたらどんなにいいだろう。

このまま、ロアさんのことを好きになれたら、どんなに幸せだろう。

あたしはそっと目を瞑った。

このまま、何もかも忘れてしまえば楽になれるのかな?

ラウルの笑顔も優しさもぬくもりも香りも、全て……全て忘れてしまえばっ……。

ロアは唇を離して、あたしの首筋に唇をつける。

「……っ」

そして、そっとあたしの服のボタンを二つくらい外して鎖骨に吸い付いた。

涙は溢れて、横を伝う。

やがて、涙は自然と止まらなくなった。

ラウルの笑顔が思い浮かぶ度に、涙が溢れ出てくる。

ロアはあたしのすすり泣きに気付いて、そっと唇を離し、あたしの髪を優しく撫でた。

「……ごめん、な、さいっ……めんなさっ……いっ……!」

拭っても拭っても溢れてくる涙。

泣かないでよ。

泣かないで。

どうしてこんなに心が痛いの?

どうしてこんなに涙が溢れてくるの?

身体が自然と震える。

ラウルを失うと思うと、怖くて震えが止まらない。

「謝らなくていいよ」

ロアは優しい笑顔であたしの髪を撫で続ける。

「あた、し……ほんとに、好きっ……なんです……ラ、ウルのことっ……忘れられなくてっ……!」

「だから、僕が忘れさせてあげるよ。直ぐ、楽になるから」

あたしはゆっくりと首を横に振った。
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