ヴァンパイアスクール
prologue

8月、鳴り止まない蝉の声、ときどき窓を吹き抜ける暑い風。私は、高校の夏休み最終日を家でテレビを観て過ごしていた。

『夏の風物詩特集』といった内容のテレビを、私はただなんとなく眺めているだけだった。今日は、母が帰ってきたら母の誕生日をお祝いする予定だった。テレビを観ながらも、母が帰るのをそわそわして待っている。
高校から始めたアルバイトの給料で買った母へのプレゼント。いつも仕事が忙しく、荷物の多い母にぴったりだと思って買ったのは、機能性の高いバッグ。
質の高いものだったので値段はそれなりにした。小さい頃から母ひとりに育てられた私は、母を心から尊敬し、本当に大好きだった。

母の帰りを心待ちにしていたが、帰宅するであろう時間を過ぎても帰ってこなかった。

< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop