「其の花の、真白に咲く」〜麗しの執事と令嬢の秘恋〜
「この私が、会いに来ましたのに?」
わざとらしい台詞を吐いて、微笑を貼り付けるのに、
「……私が、あなたをそれほど待ち望んでいるとでも思うの?」
こちらもそうわざと言って返すと、キースがふっと小さく笑った。
「では、誰なら、あなたは待ち望んでいるのでしょうね?」
言いながら、リュートの横顔をちらりと窺うのを、
「…別に、誰も……。…リュート、アフタヌーンティーの用意をしてちょうだい」
面倒にも感じつつ向かいの椅子に座るよう促して、リュートに声をかける。
「かしこまりました。お嬢様」
下がる彼の後ろ姿を自然と目で追っていると、
「……そんなにじっと見るほど、……気になっていられるのではないかと?」
「……え?」
無意識だったせいで、キースに指摘されるまで自分がリュートを見ていたことに気づいていなかった。