「其の花の、真白に咲く」〜麗しの執事と令嬢の秘恋〜

「……奪ってよ! 私だって、何度もあなたにそう言って……!」

吐き出された彼の本心に、思わず叫ぶように口にするのを、

「……ですが、」

と、リュートが遮る。

「ですが私には……あなたを奪ったところで、幸せにすることなどはできないのです……」

膝をついたままで、リュートが絞り出すようにも言って、私のドレスの裾を両手で固く握り締める。

「……みすみす不幸にするとわかっていて、私にはあなたを奪い去ることなどは……」

私の膝に顔を押しあてて、

「……到底、できません」

リュートは身体を震わせた。



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