Sweet Candy ~嫉妬~
「…なな?」
あたしの異変に気付いたのか陸があたしの顔を覗きこもうとした。
見られたくない衝動で瞬間的にあたしは顔を背けてしまって…
「なな!」
両頬を陸の手で挟まれて無理やり向かされた。
「…泣いた?何かあったか?」
陸が一瞬困った顔をした気がする。
あたしは首を横に振る。
「昨日ね、映画見て号泣しちゃって…すごいよかったよ!今度一緒に…」
「お前昔から嘘つくの下手。頬に跡残ってる。」
親指で頬を撫でられると何故かまた泣きそうになる。
「どうした?」
どうしたって聞かれてもこんなの言えるわけもなくて
「何でもないよ。」
って言うしかなかった。
「なんでもなくないだろ?おまえ…」
陸が何かを言いかけた時、
「陸君!!休憩終わるよ!」
向こうから中島さんの声。
「…陸、呼んでるよ」
「…良いよ。」
あたしから目を反らさない陸。
すべてを見透かれそうで…
先に目を反らしたのはあたし。
「…よくないよ。仕事がんばってね!」
そう言って近くにあったエレベーターに駆け込んだ。