紫陽花とネバーランド
不審に思いつつ起き上がってみた。

体はどこも痛まなかった。ひとまず安心。どうせ生きているのなら怪我はないほうが良い。

無傷、ということに自殺を図った人間が喜んでいいのかわからないけど。

ベッドから降りて一つ気づいた。
それは、この建物にはほかに部屋がないこと。

部屋は円形で塔のような建物を連想させるのに、ドアは一つで、階段に至っては一つもない。

窓から入ってくる風が気持ちいい。
自分の部屋よりも狭いのになぜだか妙に落ち着いた空間だ。

ここがどこかわからないけどあの場所に帰るよりずっといいと思ってしまうぐらい。
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