待ってろあおはる
目覚めると、ん、ちょっと寒い…。
先輩も気配で起きたようだった。

おはよ。寒いね。と、言いながらカーテンを
ひらっとめくると。

わ…。すごい。
背中からも、ん?どした?と声がして。

寒いわけだよねぇ…。と、顔を見合わせる。

外は白くなっていた。
お出かけするのは大変そうだね…。

残念そうなあたしに。

天気予報はチェック済ですよ。
車は準備してあるから、大丈夫。
と、得意げに言う先輩。

じゃあ…水族館は?と言うと。

かしこまりました。お姫様。と、笑う。

風邪ぶり返さないように、たくさん
着込んで、急いで出かけた。

天気のせいか、あまり混んでない水族館。

ずっと手をつないで、キレイな水槽の魚を
見て歩く。

デートみたい。と、先輩を見上げると。

違うの?と、笑う。

改めて、あたし、彼女なんだなぁと実感する。
こんな風に、デートしたこと無かったから
やっぱりちょっと照れくさい。

遅いランチを食べながら。

先輩、すごく楽しかった。
またデートしてね。

言葉と裏腹に、涙目になるあたしに。

こら、泣かないの。と、優しい声で言う。

もう、目の前に迫った現実に、
心がひきずられてる。

来週のクリスマスに来る約束したでしょ?
またすぐ会えるよ。
と、頭をなでる。

明日のサヨナラが怖くて、寂しくて
泣きたくなってるあたしを、先輩は
ちゃんとわかってくれてる。

うん…待ってる。
クリスマス…楽しみにしてるね。

泣き笑いのあたしの顔を見て、
少し辛そうに先輩は微笑んでいた。






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