Perverse second
触れた場所から伝わるのは、忘れかけていた温もりだった。



ずっと欲しくて欲しくて。



けれど何度も諦めかけた。



その彼女の唇に寄せて、もっと深く……と欲をかいたとき。



それを拒むかのように三崎はポツリと呟いた。



「……どうして……?」



「ん?」



「柴垣くんは……どうしてこんなことするの?」



俺を真っ直ぐ見つめて話さない目は、俺を試しているようには見えない。



どうしてだ、と本気で聞いているのだろう。



俺がこんなに焦って一生懸命に津田さんとのことを妨害しようとしているのに。



本当にそんなことは何一つわかっていないのか?



「俺がこんな醜態晒してんのに、何も分かんねぇの?」



「言葉にしなきゃわかんないよ。それは柴垣くんだって同じでしょ?」



そう、俺はそのことを身をもって知った。



何度も何度も『あの時どうして伝えられなかったのだろう』と後悔ばかりした。



言葉が持つ力の大きさを痛感したのだから。



「竹下さんと付き合ってるんでしょう?なのに…どうして私にこんなことするの?」



だからほら。



三崎にこんな誤解をさせてしまっていた……。
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