Perverse second
「私はもういいです。次のターゲット見つけたので」



何かに狙いを定めたかのようににやりと笑った竹下は、やっぱり男性社員からの人気が高いだけある。



魔性の笑みとでも言うのだろうか。



顔だけ見れば騙されるな……とこっそり思った。



竹下の言う次のターゲットとは、間違いなく津田さんだろう。



……頑張れ津田さん。



「じゃ、私帰りますんで。続きしても構わないですけど、これからの時間は人通り多くなりますから気を付けてくださいねー」



「しませんっ」



ムキになる三崎を見て竹下は鼻で笑うと、ヒールを鳴らして去っていった。



続きと言われても……。



俺は構わないけど、三崎はもうきっとキスさえさせてくれないだろう。



「……帰ろ」



ほら、もうそんなことを呟いている。



このまま帰してなるものか、と俺は慌てて三崎の手を取った。



「俺、まだ帰ってきたばっかで一緒に帰れねぇけど」



「まだ早いから大丈夫よ」



「そうじゃねぇだろ。話はこれからだっつってんの」



まったく何とぼけた事言ってんだよ。



三崎の気持ちは伝えてもらったけれど、俺からはまだ何も伝えていない。



ちゃんと言葉にするには、ここでは無理がありすぎる。



「速攻で終わらせてくるから、家で待っててくれるか?」



そう言うと俺はポケットの中からキーケースを取り出した。



「6階の610だから」



三崎の手を取りそっと手の中にキーケースを収めると、『ちゃんといろよ?』と祈りのように呟いて、返事を聞かずにリラクゼーションルームを出ていった。
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